気丈な振る舞いをする

14.05.2012 - 園は鞄一つをぶら下げて

 園は鞄一つをぶら下げて、もう十分に踏み固まっている雪道を足早に東に向いて歩いた。肘を押しまげて頭の上から強く打ち下そうとする衝動が、鞄を不必要に前後に揺り動かさした。彼は今夜という今夜、すべてのことをおぬいさんとその母とに申しでようという決心をやすやすとしてしまっていたのだ。それは東京に帰ろうと決めたと同時に、特別な考慮を廻らさないでも自然にでき上った決心だった。園はもとよりおぬいさんが彼をどう考えているかも知らなかった。その母がどう考えるかも考えてはみなかった。園はただおぬいさんを愛していることをこの十日ほどの間にはっきりと発見したのだ。彼は幾度かできるだけ冷静になって自分の気持を考えてもみ、容赦なく解剖してもみた。しかしそこに何らか軽薄な気持が動いていることを認めることができなかった。渡瀬が酔ったまぎれに「おぬいさんに惚れろ」といい続けた時、園はそういう問題を取り上げる気持は少しもなかったが、その後四五日経ってから、どうした機会だったか、園はふとおぬいさんに対する自分の心持を徹底的に決めておかなければならぬという強い要求を感じ始めた。SEO対策無双|半永久被リンクサービス 無料でアクセスアップBOON!
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